諏訪ななかさんファンクラブイベント「7 colors world」感想

諏訪ななかさんを、氷のような女性だと思っていました。

 

彼女はいつも一貫してマイペースかつ冷静であり、その在り方は私に透明さと冷たさを感じさせました。彼女はこれまでのソロイベントでもそのマイペースさを遺憾なく発揮したセトリを披露してきた一方で、Aqoursの曲を歌ったことは一度もありませんでした。きっと彼女なりのルールがあったんだと思います。

 

そしてソロデビューが決まり、本日開かれたファンイベント。 そこでAqoursの3rdシングルであり彼女の演じる松浦果南がセンターを務めるHAPPY PARTY TRAINが歌われました。聞き慣れたイントロが条件反射的に衝撃と喜びを運んでくる一方で、同時に襲ってくる違和感。なぜこの曲を解禁したのか。歌声と表情に乗る機微を峻別しようとしている内にあっという間に曲が終わり、そして彼女は今日のこの曲をスタート地点と宣言しました。

 

そういえば。彼女のソロデビューに対して、彼女の代表曲のひとつであるHPTがその要因に関係しなかった筈がない。それどころかHPT超えをソロデビューの目標にしていてもおかしくはない。今日のHPTは穿った見方をすれば彼女自身とHPTの切り離しとも取れます。いずれにせよ今日のHPTにはソロデビューに対する彼女の決意と覚悟が込められているのは間違いようがない。

 

正直記憶が曖昧なのですが、「今までで一番盛り上がった」と、彼女は半ば諦め交じりにそう言った気がします。

 

もしもそこで彼女が、Aqoursの、松浦果南の存在の大きさを改めて感じていたのだとしたら。

 

不遜ながら、彼女ですら私と同じなのかもしれないと思ってしまいました。Aqoursの物語が一区切りし、新しいステージで新しい夢を追いかけなければいけない。そんな強迫観念にも近い使命感と向上心を燃料にして生きているのではないかと。彼女もまたラブライブに呪われてしまったのではないかと。

 

それでも彼女はソロデビューという夢への挑戦を決めたのです。彼女は彼女自身の可能性を信じている。そして壁は努力で乗り越えていけるのだと、私は彼女に証明して欲しい。

 

もっとも、彼女が何を思っているのかなんてのは彼女にしか分かりません。諏訪ななかさん本人やそのファンの方々には非常に失礼で不愉快な話だったかもしれません。この記事だって私が勝手に妄想した虚像を消費しているにすぎない。

 

そしてどのみち、私ごときには何もできない。それでも私は、彼女の挑戦を正しく評価したい。応援したい。信じたい。

 

少なくともそう思えるような素晴らしいイベントでした。