Over The Next Rainbowの話


 先に言うと、この記事では

「Next Rainbow」=「副虹
 と解釈しています。

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↑これね。

順を追って説明していきましょう。

 

「虹」とは何なのか?

ラブライブ!サンシャイン‼には意味深なキーワードや記号が度々登場します。「羽根」「紙飛行機」、そして「輝き」「キセキ」。主人公である高海千歌が事あるごとに「輝き」というキーワードを口にしていて、1期13話では「輝くって、楽しむってこと」って答えを出して。更に2期に入ってからは「キセキ」という概念まで加わり、そして迎えた2期3話「虹」。当時は意味不明すぎて思考停止するほどの衝撃を受けました。超展開で殴られ、これがラブライブだと受け入れるしかなくって。「MIRACLE WAVE」で「キセキ=奇跡」にミスリードされたり、結局アニメでは「キセキ」が何なのか最後まで明確にされないまま2018年6月には「キセキヒカル」なんてものが出たり。

 

そこには明らかにメッセージ性が隠されているものの、それが何なのか分からず考えることを止め、脚本への理解を諦めて、ただキャラクターの感情を自分の中で再現していた私はある日、この記事と出会いました。

 

 

そこにはこう書かれています。

 

輝きながら走ればが出る。
そのは「奇跡」であり「軌跡」でもある。

 

今でこそ劇場版のタイトルに「Rainbow」が題されたりして、「キセキ」=「虹」という解釈が広まりつつありますが、当時アニメを何周してもストーリーを理解できなかった私のもとに、突然舞い降りたカタルシス

 

あの意味不明だった2期3話。

なぜあんな逆境を与え、強引に解決したのか?

なぜキセキを起こす事にこだわったのか?

君ここを挿入した意図は何だったのか?

 

すべてはをつくるためでした。

 

虹の郷が登場したのも「沼津側から虹の郷を宣伝してくれと頼まれたのか」と当初は邪推しましたが、虹の郷なんて言う都合のいい名前の舞台が沼津にあったのは制作陣の意図したものではなく、偶然や運命を超えた見えない力によるものでした。

そしてAqoursは、舞台の都合ではなく作品のコンセプトとして虹の郷を駆け抜ける必要があった。

 

劇場版特典「Aqoursの輝跡☆」

更には、先日遂に公式が「輝跡」という単語を使用したことで、私の中の「キセキ」解釈論争にやっとひとつの終止符が打たれました。

しかし、ただの「Aqoursの輝跡」ではなく、星を付けて「Aqoursの輝跡☆」としたのも何かしらの理由があってのことだと思いますが、残念ながらそれが何を意味するのかまでは分かりません。。。

ちなみに私はドゥオモのフィルムが当たりました。

 

ひとまずまとめると、この記事では

「虹」=「キセキ」=「輝跡」=「輝きながら走った跡」

と解釈します。

 

 

「Next Rainbow」の意味

それでは「Next Rainbow」とは何なのか。

公式のツイート「CDジャケット公開」

劇場版が上映されたその日のうちに公式が公開したジャケット・INDEX、その中に1曲だけ劇場版で披露されていない曲がありました。

 

Over The Next Rainbow

歌:Saint Aqours Snow

 

明らかに異質な存在感。劇場版の外側から来た劇場版の文脈の曲。すなわち、プロジェクト側から視聴者へのメッセージ。曲名とSaint Aqours Snowが歌うって事しか分からず、その時はあまり曲名を気にせずに、虹がかかるのは1回だけじゃないのかな程度に考えてました。

 

公式のツイート「試聴動画」

そして待ちに待った視聴動画の公開。ぶっちゃけ「Believe again」ばっか聴いてましたし、同じSaint Aqours Snowでも「Over The Next Rainbow」は「Awaken the power」と全然違う方向の曲だったので、そのギャップが第一印象にありました。

劇場版に熱中していた当時の私にとって、劇場版の内容とほぼ無関係だと思っていた「Over The Next Rainbow」を真剣に聞く機会が少なく、むしろ劇場版鑑賞におけるノイズだと思っていた節すらあります。結局、歌詞を意識してまともに聞こうと思ったのは2月6日のCD発売後でした。

劇場版エンドロールの副虹

時は少し前後して、CD発売前の2019年2月4日。

いつも通りTwitterを眺めていたらこんなツイートが回ってきました。 


まず劇場版エンドロールの虹の色が逆だった事にすら気付かなかった私は、フーンそうなんだエモいなぁ、程度で聞き流してしまいました。

私が最後に映画を見たのも2月1日(7回目)で、エンドロールの副虹を確認することもせず、考察もそこで止まっていました。
 

この記事を書くに至ったきっかけは、2月10日の沼津ファンミで友人が偶然ふとこのツイートの話をした時。突然思い付いたんです。

もしかしたら副虹」=「Next Rainbow」なのではないのかと。

 

副虹について調べてみたら、元ツイートの通り、副虹が見えるダブルレインボーには“卒業”と“祝福”のメッセージが与えられているみたいです。

“卒業”は「あなたのこれまでの頑張りを労う」という意味を、“祝福”は「これからあなたに幸せが訪れる」という意味を持っています。

「今までよく頑張りました。これからあなたは新しいステージへ行くことになります。いいことがあります、大丈夫」という意味だと。

「Next Rainbow」。次の虹。

直感的に、主虹の次に現れる副虹のことを意味しているような気がしました。

しかし「Next Rainbow」=「副虹」という根拠がどこにもないので、あくまでもひとつの解釈、ひとつの仮説という前提で話を進めます。

 

アニメの輝跡を主虹(Rainbow)とするならば、

劇場版の輝跡は副虹(Next Rainbow)として、

主虹と対になって“卒業”と“祝福”を意味することになります。

アニメ単体だけでも足りず、劇場版単体だけでも足りないメッセージ。

この2つの媒体を繋ぐのが、「WONDERFUL STORIES」と「僕らの走ってきた道は」なのかもしれません。

 

そして劇場版のエンドロールで歌われていた「Next SPARKLING!!」

3年生が卒業していなくなり、6人の新しいAqoursとしての曲。3年生はいなくなってなお、亜空間でこの曲に参加します。

演出の意味までは正直分かりませんが、「Next SPARKLING!!」がこの「Over the Rainbow」で一番伝えたかったメッセージだという事はなんとなく分かります。そして曲名の「Next」。劇場版全体がアニメという虹の上に架かる「Over the Rainbow」なのだとしたら、その最後の輝きとなる「Next SPARKLING!!」こそが副虹、すなわち「Next Rainbow」なのではないでしょうか。もしそうだとすると「Next SPARKLING!!」のエンドロールで架かった虹が副虹だったことにも納得ができます。

こじつけ感が正直否めませんが、「Next SPARKLING!!」は「Next Rainbow(副虹)」を暗示していると仮定すると、そのメッセージ性や演出、5thライブのタイトル、衣装の色、そして「Over The Next Rainbow」の意味などが全部解決するので私の中ではそういう整理になってます。

 

すこし長くなったので、冠詞ごとに虹の解釈をまとめます。

「Rainbow」=アニメの輝跡(主虹)

Over the Rainbow」=アニメ後の劇場版の時間軸

「Next Rainbow」=劇場版の輝跡(副虹)=「Next SPARKLING!!」

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WONDERFUL STORIES

この曲には答えが詰まっていたんですよね。

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今ならあなたにも見えるはずです。

Next Rainbowが。

 

沼津が架けたダブルレインボー

Next Rainbowの話はいったんこれでおしまいです。

劇場版の話ではなく現実の沼津で、劇場版の公開直前に起きた出来事をどうしてもこの記事の中で紹介しておきたかったので、ここに書かせていただきます。

 

2019年1月2日、沼津に虹が架かりました。

しかもただの虹ではなく、副虹をはっきり視認できるダブルレインボーです。

 

 

 

Over the Rainbow」と題した劇場版の直前に沼津が見せてくれたダブルレインボー。

舞台からのささやかな恩返し。

ただの偶然かもしれない。

意味なんて無いかもしれない。

それでも。

「私ね、もしかしたらこの世界に偶然はないのかもって思ったの。」


「色んな人が色んな想いを抱いて、その想いが見えない力になって引き寄せられて、運命のように出会う。」


「全てに意味がある。見えないだけで、きっと。そう思えば素敵じゃない?」

 

私もかつて一度だけ沼津で虹を見せてもらった事があります。

長井崎中学校から望む、内浦湾に架かったダブルレインボー。奇しくも2期3話と同じく、学校に向かって坂を上っている途中に起きた出来事でした。

 

Over the Next Rainbow

上述した虹の解釈。

「Rainbow」=アニメの輝跡(主虹)

Over the Rainbow」=アニメ後の劇場版の時間軸

「Next Rainbow」=劇場版の輝跡(副虹)=「Next SPARKLING!!」

では「Over the Next Rainbow」は?

この曲は「Next Rainbow」の上、つまり劇場版の、「Next SPARKLING!!」の更に上の世界の曲です。

AqoursSaint Snowによる、Saint Aqours Snowとしての11人の曲。

パートは基本的にユニットごとで分かれていますが、Cパートでは卒業していく3年生だけが歌っています。

(聖良)なんてあっという間に過ぎてゆくのだろう
(ダイヤ)立ち止まることもできない季節は
(果南)今日も(去って)
(鞠莉)今日が(去って)
(果南・鞠莉)前を向くしかない
(果南・ダイヤ・鞠莉・聖良)決して戻れないね…

劇場版を終え、卒業していく3年生に歌う“別れ”と“約束”の曲。


過去を辿る「WONDERFUL STORIES」
現在を刻む「WATER BLUE NEW WORLD」
未来を願う「Brightest Melody」


そして劇場版の時間軸の外にある、“卒業”と“祝福”の果ての曲「Over The Next Rainbow」

 

どこで言ったかは忘れてしまいましたが、かつて酒井監督が「1stライブでアニメ1期が完成した」という趣旨の事を仰っていたように、劇場版も、あるいはアニメーションとしてのAqoursの物語も、この「Over The Next Rainbow」をもって完成させようとしているのかもしれません。

 

卒業の話

ここから先は、更なる仮説。


劇場版が終わり、アニメの世界は再び幕を閉じました。

残すはキャストが作る現実の世界。

アジアツアー、5thライブ、4thシングル。

では、その先は...?

目を背けてきましたが、もう終わりが見え始めている気がします。

 

卒業するのは何も作中の3年生だけではありません。

現実のAqoursキャストも、そして私もいつかはラブライブを卒業する時が来ます。

 

そして現実での卒業を意識したとき、ある可能性が浮上してきました。

「Over The Next Rainbowはラブライブ卒業を控えたファンに向けた曲」なのではないか?、と。

 

この曲は、歌詞から主語が意図的に削がれています。

消えてゆく虹に約束しよう
忘れないよいつまでも

これは誰から誰に歌った曲か?

 

お互いの道が交わった
喜びをダイジにしてゆくよ
これっきりじゃないよね

お互いとは誰と誰か?
 

離れたら 近づいて (そして)
近づいて 離れてく (そして)
だんだん気持ちが通じると
チカラになりたいと考えて
このとき待ってたんだよ

誰と誰のことか?

 

歌詞に解釈の余地を残すのはよくあるやり方ですが、一度疑ってしまうとその方向に決め付けのようなバイアスがかかってしまいます。

思い返してみれば、卒業をテーマにした曲は「Over The Next Rainbow」だけではありません。
 
サクラバイバイ
卒業ですね
Guilty Farewell Party
 
アニメ2期の円盤を全て集めた人に贈られた曲。

そのどれもが卒業ソングでした。

これらは卒業していく3年生に向けたものではなく、ひとつの終わりを迎えたファンに向けた曲とも受け取ることができます。

 

そして2019年2月17日。

劇場版では「変化」に対してどう向き合っていくのか、ということを意識しました。

*引用:http://gs.dengeki.com/news/127028

沼津のスタッフトークで酒井監督が仰っていた言葉です。

 

変化。街も人も自分たちも変わっていく。時間は止められない。巻き戻せない。それでも、どれだけ変わってもなくならないものがある。大切なのは、その変化をどう受け入れるか。それは劇場版の中のAqoursだけでなく、現実の私たちにも与えられたテーマです。

 

変化していくコンセプト。成長していくコンテンツ。

「DROPOUT!?」も「キセキヒカル」も「勇気はどこに?君の胸に!」究極verも、アニメでは披露されなかった曲をここぞとばかりに演じた3rdライブ福岡。

浦の星交響楽団を召喚し、「想いよひとつになれ」でシンクロを崩し、Aqours Shipの上で「MIRAI TICKET」と「WATER BLUE NEW WORLD」を披露し、ライブテーマ「Thank you, Friends!!」とダブルアンコールで幕を閉じた4thライブ。

 

そして「Next SPARKLING!!」 の上に作られた、劇場版では存在しなかったはずの「Over The Next Rainbow」

 

5thライブ「Next SPARKLING!!」で、

もしも、ユニットの卒業ソング3曲が披露されるようなことがあれば、

もしも、「Over The Next Rainbow」が合唱曲になるようなことがあれば、

私もいよいよ“変化”そして“卒業”と向き合う必要があるのかもしれません。

 

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消えていく虹に約束しよう
忘れないよいつまでも
いつかまたね会えるよね
いつかきっと会えるよね

 

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*引用:https://mantan-web.jp/photo/20190130dog00m200022000c.html?page=033